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英文財務諸表の読み方|BS・PL・CFの英語勘定科目と日本基準との違い

2026年9月3日 · 潮田 豊幸(World Finance Edu)
著者:潮田 豊幸。シンガポール在住。日々の仕事はすべて英語です。Mentogram School of Finance の Program Director 兼 Founding Partner(授業はすべて英語、学位授与は Woolf)、フラクショナルCFO、エンジェル投資。ネイティブではない立場で、英語で20年以上グローバルの実務に携わってきました。米国公認会計士(USCPA)、INSEAD Global Executive MBA。 経歴・登壇の実績 ›

海外子会社の月次が英語で回ってきた。買収候補のAnnual Reportを渡された。日本語の決算書なら30分で読めるのに、英語になった途端に手が止まる。この状態は、英語が読めないから起きているのではありません。日本語で読むときに使っている「どこを見るか」の順番が、科目名が英語になった瞬間に使えなくなるからです。

英文財務諸表でつまずく原因は、だいたい3つに絞れます。勘定科目の対訳を知らない、表の並び順が日本の決算書と違う、そして日本基準にあって英語圏にない概念がある。どれも語学の問題ではなく、対応表と構造の話です。順に片づけていきます。

まず単位と通貨を確認する

本文に入る前に、必ず表頭を見てください。(in millions of USD)(JPY in thousands) と書かれています。ここを見落とすと、桁を1,000倍間違えたまま議論に入ることになります。実務で起きる事故は、専門用語が読めないことよりも、この一行を飛ばしたことで起きます。

数字を英語で口に出す段になって止まる人は、英語の数字が出てこない人へ|million・billionの変換と決算数値の言い方もあわせてどうぞ。読むときと話すときで、つまずく場所が違います。

貸借対照表(Balance Sheet)の勘定科目

日本語英語補足
流動資産Current assets1年以内に現金化する資産
現金及び現金同等物Cash and cash equivalents会話では単に cash
売掛金Accounts receivable / Trade receivables略して AR。IFRSでは trade receivables が多い
棚卸資産Inventories単数形の inventory も使う
前払費用Prepaid expenses先に払って未消化のもの
有形固定資産Property, plant and equipmentPP&E(ピーピーアンドイー)と読む
のれんGoodwill買収価格と純資産の差額
買掛金Accounts payable / Trade payables略して AP
未払費用Accrued expenses発生済みで未払のもの
短期借入金Short-term borrowings / Short-term debt1年以内返済
純資産Equity / Net assets会話では equity
資本金Common stock / Share capital米国は common stock、英・IFRSは share capital
資本剰余金Additional paid-in capital / Share premium払込超過額
利益剰余金Retained earnings過去の利益の累積
自己株式Treasury stockマイナス表示になる
AR と AP は必ず声で覚える
売掛金と買掛金は、会議で最も略語のまま飛び交う科目です。"AR is up 12%" と言われて一拍遅れると、そこから先の話に乗り遅れます。文字で覚えるだけでなく、エーアール・エーピーと音でも結びつけておいてください。

損益計算書(Income Statement)の勘定科目

日本語英語補足
売上高Revenue / Net salestop line とも呼ぶ
売上原価Cost of sales / Cost of goods soldCOGS(コグス)
売上総利益Gross profit粗利率は gross margin
販売費及び一般管理費Selling, general and administrative expensesSG&A(エスジーアンドエー)
営業利益Operating income / Operating profitEBIT とほぼ同義で使われる
支払利息Interest expense受取利息は interest income
税引前当期純利益Income before income taxespre-tax income とも言う
法人税等Income taxes実効税率は effective tax rate
当期純利益Net incomebottom line とも呼ぶ
親会社株主に帰属する当期純利益Profit attributable to owners of the parentIFRSの表記。連結で必ず出る
非支配株主持分Non-controlling interestsNCI。旧称は minority interests

用語そのものをもっと広く押さえたい場合は、金融・会計の英語用語一覧|ファイナンス実務で使う英語の勉強法に実務の頻出語をまとめています。

キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement)の勘定科目

日本語英語補足
営業活動によるキャッシュフローCash flows from operating activities会話では operating cash flow、OCF
減価償却費Depreciation and amortizationD&A。有形が depreciation、無形が amortization
売上債権の増減Changes in trade receivablesincrease/decrease in で書く場合もある
投資活動によるキャッシュフローCash flows from investing activities投資CF
設備投資Purchases of property, plant and equipment会話では capex(キャペックス)
財務活動によるキャッシュフローCash flows from financing activities財務CF
配当金の支払額Dividends paid自社株買いは purchase of treasury stock

日本の決算書と構造が違う3点

1. 経常利益に当たる段がない

日本のPLは、営業利益の下に経常利益があり、その下に特別損益があります。英語圏のPLにこの段はありません。日本企業の英文開示では ordinary income や recurring profit と訳されていますが、これは日本基準を英語に置き換えただけの用語で、米国基準やIFRSの決算書には出てきません。「経常ベースで見ると」という日本語の議論を、そのまま英語の相手に持ち込むと通じないのはこのためです。英語で話すときは operating income か net income のどちらかに寄せて説明したほうが早いです。

2. のれん償却の行がない

日本基準ではのれんを規則的に償却するので、PLに「のれん償却額」が並びます。米国基準とIFRSはのれんを償却せず、毎期の減損テストで評価します。ですから英文PLに amortization of goodwill を探しても見つかりません。代わりに、減損が起きた年だけ impairment loss が突然大きく計上されます。前年比で利益が急落しているときは、まずここを疑ってください。

3. 並び順が逆のことがある

米国基準のBSは流動資産から始まります。一方、IFRSを採用する欧州企業などでは、非流動資産(Non-current assets)を上に置く形式が普通に使われます。同じBSでも上下が反転しているので、見慣れた位置に見慣れた数字がなく、それだけで読めない気がしてしまいます。書式が違うだけで、中身は同じです。

読む順番は PL 3行 → CF 2行 → BS
(1) PLの Revenue、Operating income、Net income の3行。
(2) CFの Cash flows from operating activities と capex。
(3) そのうえでBSの Cash、Debt、Equity。
この5〜6個の数字を先に拾えば、細かい科目が読めなくても会話には入れます。全部を頭から訳そうとするから終わらないだけです。

そもそも3表の関係を日本語で復習しておきたい方は、姉妹サイトの財務三表の読み方(日本語)を先に読んでおくと、英語版が一気に楽になります。

読めることと、話せることは別

ここまでは読む話でした。ただ実務で困るのは、読めた内容を英語で説明する場面です。対訳を覚えても、口に出す段になると詰まる。理由は、財務の説明が長い文になりやすく、どこを強く読むかで意味が変わるからです。

たとえば "Operating income was down 8%, mainly due to higher SG&A." という一文では、down 8% と SG&A を強く、少し長めに読みます。ここを平坦に流すと、相手は数字も原因も取り逃します。個々の音を作り込むより、強弱と間を整えるほうが、財務の説明ははるかに伝わります。練習時間の配分でいえば、発音の作り込みに3割、リズムと強弱に7割で十分です。目指すのはネイティブのような発音ではなく、一度で伝わる説明です。

投資家や本社への説明の型は、IR英語の話し方|決算説明会とQ&Aで投資家に伝える表現で扱っています。

まとめ

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潮田豊幸
潮田 豊幸(Toyoyuki Ushioda)
World Finance Edu 代表(シンガポール)。
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