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IR英語の話し方|決算説明会とQ&Aで投資家に伝える表現

2026年9月1日 · 潮田 豊幸(World Finance Edu)
著者:潮田 豊幸。シンガポール在住。日々の仕事はすべて英語です。Mentogram School of Finance の Program Director 兼 Founding Partner(授業はすべて英語、学位授与は Woolf)、フラクショナルCFO、エンジェル投資。ネイティブではない立場で、英語で20年以上グローバルの実務に携わってきました。米国公認会計士(USCPA)、INSEAD Global Executive MBA。 経歴・登壇の実績 ›

財務諸表の英語は読める。用語も一通り覚えた。それでも、投資家やアナリストの前に立つと言葉が出てこない。数字は頭に入っているのに、それを英語でどう「説明」すればいいのか分からない。IR(Investor Relations、投資家向け広報)の英語で、こういう壁にぶつかる方は多いと思います。

これは英語力の問題というより、用語の知識と説明の型が別物だからです。用語は部品で、IR英語で問われるのは、その部品を投資家が納得する順番で並べる力です。ここでは、決算説明会とQ&Aという2つの場面に分けて、私が実務で使っている型を整理します。

なぜ用語を覚えてもIRで話せないのか

IR(Investor Relations、投資家向け広報)の英語には、決まった構文の型があります。数字を読み上げるだけでは、投資家には「で、それは良いのか悪いのか」が伝わりません。投資家が知りたいのは、数字そのものより、増減の理由と、今後の見通しです。

用語の土台がまだ不安な方は、先に金融・会計の英語用語一覧で頻出語を押さえておくと、この記事の表現がそのまま使えます。用語が部品、型が組み立て方、という関係です。

逆に言えば、覚えるべき型は多くありません。「数字」「前年同期比」「増減の理由」「見通し」の4つをつなぐ言い方を身につければ、決算説明会の説明パートの大半は組み立てられます。

決算説明会でよく使う表現

まず、説明パート(プレゼン部分)で頻出する構文です。数字に必ず「前年同期比(year over year、YoY)」と「理由」を添えるのが基本の型です。

場面英語の型
増収を説明するRevenue was up 12% year over year, driven by strong demand in Asia.
利益率に触れるOperating margin improved to 18%, mainly reflecting lower input costs.
減少を正直に言うNet income was down 5%, largely due to one-off restructuring costs.
見通しを示すWe are raising our full-year guidance for revenue to a range of ...
次に移るMoving on to the balance sheet, let me walk you through the key items.

ポイントは、driven by / due to / reflecting といった「理由をつなぐ2語」を決め打ちで持っておくことです。数字のあとにこの2語を置くだけで、単なる読み上げが説明に変わります。話し方の組み立て自体は、英語プレゼンの話し方で解説した結論先行の型と同じです。

Q&Aで詰まらない受け答えの型

決算説明会で一番緊張するのは、質疑応答(Q&A、Questions and Answers)です。ここは準備した原稿が使えないので、暗記ではなく「受け答えの型」で乗り切ります。私が使い分けているのは次の3つです。

1. 時間を作る(質問を受けた直後)
That's a fair question. Let me give you some context first.

2. 質問を確認する(聞き取れなかったとき)
Just to make sure I understand, are you asking about the fourth quarter specifically?

3. 答えられないことを丁寧に断る
We don't disclose that level of detail, but what I can say is ...

3番目が特に重要です。IRでは「言えないこと」を英語で上手に断る力が、流暢さより評価されます。黙り込むより、開示しない理由を一言添えて次の論点に移すほうが、投資家には誠実に映ります。相手の質問が速くて聞き取れないときの対処は、英語会議のフレーズと聞き取り戦略と同じ考え方が使えます。

数字は読み上げず、意味を添える

IR英語で最後に効いてくるのは、話し方の印象です。同じ内容でも、文末が上がって自信なさそうに聞こえると、投資家は数字そのものまで疑い始めます。特に見通しやガイダンス(guidance、業績予想)を語る場面では、文末を下げて言い切ることが、内容と同じくらい大事です。

この「自信の伝わり方」は性格ではなく音の問題です。詳しくは英語で自信がなさそうに聞こえる理由にまとめています。

練習のコツ

  1. 本物の決算説明会の書き起こしを読む:海外上場企業のQ&Aの書き起こしは公開されています。上のような型が繰り返し出てくるのが分かります。
  2. 自社の数字で言い換える:覚えた型に、自分の会社の実際の数字を入れて声に出します。部品と型が結びつきます。
  3. Q&Aは一人で想定問答を作る:厳しい質問を5つ書き出し、上の3つの型で答える練習をしておきます。本番で初めて考えなくて済みます。

まとめ

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潮田豊幸
潮田 豊幸(Toyoyuki Ushioda)
World Finance Edu 代表(シンガポール)。
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